学部情報

2017年度入学者

はじめに

建設工学科では、2002(平成14)年度に現行の教育目的と教育目標4項目を定め、2003(平成15)年度には、4項目を細分化して8項目とした学習・教育目標(箇条書き)を示すとともに、各学習・教育目標の達成度評価方法と評価基準を学科のウエブページに公開した。また、建設工学科は、国際的に通用する技術者教育を目指し、2003(平成15)年度に日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for Engineering Education:JABEE)に申請を行い、2004(平成16)年5月にJABEE認定基準に適合した技術者教育プログラムとして認定された。これによって、2003(平成15)年度から建設工学科の卒業生はJABEE認定プログラム修了生として、国内外において認知されるとともに、技術士第一次試験免除の特典を与えられることになった。

一方、JABEEでは教育の継続的な改善を求めており、認定に際して、学習・教育目標のより一層の具体化、修了生全員の学習・教育目標達成を確実に保証できる仕組みの確保と設定通りの達成度評価の実施、シラバスの充実化とシラバス通りの教育の実施、学生自身が目標達成度を確認できるシステムの構築などの改善事項が指摘された。これに対し、建設工学科ではより充実した教育を目指し、さまざまな改善を継続的に図ってきた。さらに、JABEEの認定基準が2012年度に改定され、従来「学習・教育目標」と称していた文言が「学習・教育到達目標」と改められ、「修了生が確実に身につけておくべき知識・能力」を明確に示す事になった。本冊子においても、この方針を踏襲する記述とした。

以下、建設工学科の学習・教育到達目標(箇条書き)、学習・教育到達目標とJABEEが要求する知識・能力等との関係、学習・教育到達目標の達成度評価方法と評価基準、及び建設工学科における「学習・教育到達目標」の達成度自己チェックシートを示す。達成度の評価基準は、社会の要請する水準を考慮し、かつ学生が学習・教育到達目標を意識して履修し、工学部規程に定める卒業要件を満足すれば、学習・教育到達目標の達成度評価基準をクリアできるように設定してある。

(20170319更新)

JABEE認定と専門教育プログラムの変遷

2002(平成14)年
専門教育カリキュラムを大幅に改定
2003(平成15)年
JABEE認定プログラムへの申請
※ 認定審査[2003~2004年度(2年間)認定]
JABEE基準適合プログラムとして認定される
2005(平成17)年
新しい教養教育プログラムの開始
学習・教育目標をより具体的に細分化
学習・教育目標達成度の評価方法と評価基準を改訂
※ 中間審査[2005~2007年度(3年間)認定]
2006(平成18)年
JABEE認定基準の改定(2006年基準)
専門教育カリキュラムの一部を改定
学習・教育目標達成の評価対象科目を一部変更
2007(平成19)年
専門科目名を一部変更
2008(平成20)年
JABEE認定基準の改定(2008年基準)
※ 認定審査[2008~2013年度(6年間)認定]
2009(平成21)年
専門科目一科目を必修化
学習・教育目標達成度の評価対象科目を一部変更
2011(平成23)年
専門科目名を一部変更
2012(平成24)年
JABEE認定基準の改定(2012年基準)
育成する技術者像を明記
学習・教育目標達成度の評価対象科目を一部変更
2014(平成26)年
専門教育カリキュラムを一部改定
※ 認定審査[2014~2019年度(6年間)認定]
2015(平成27)年
専門教育カリキュラムを一部改定
2016(平成28)年
カリキュラムの変更に伴う学習・教育目標達成度の評価方法と評価基準を改定
2017(平成29)年
専門教育カリキュラムを一部改定

工学部の教育研究上の目的(工学部規程より抜粋)

工学部においては自然科学、人文学、社会科学等に対する幅広い教養及び知識を有するとともに、工学の専門分野における十分な知識及び能力を備え、次代の産業社会を担う優れた技術者の養成をめざし、博士前期課程における高度技術者及び研究者の養成にもつなげるための専門的能力の付与に力点をおいた教育研究を行うことを目的とする。

建設工学科の教育研究上の目的(工学部規程より抜粋)

建設工学科は、持続発展性のある社会を支え、かつ自然環境に調和した社会基盤の整備に資する技術の継承・進展・開発に関わる教育・研究を行う。発展的な国土形成、自然災害への対策、安全・安心・快適な生活基盤の創出と維持管理などの建設工学の役割を担うため、多様化・複雑化・グローバル化する社会の中で、在学中に身に付けた建設技術の知識を活かして、民間企業、官庁、研究機関など様々な場において活躍できる人材を育成することを目的とする。

建設工学科の学習・教育目標(箇条書き)

(1)工学および専門基礎知識の修得
(1-1) 工学基礎知識を修得し、応用できる素養を身に付ける
(1-1-1) 数学の基礎知識を修得し、応用できる素養を身につける
(1-1-2) 自然科学の基礎知識を修得し、応用できる素養を身につける
(1-1-3) 情報技術の基礎知識を修得し、応用できる素養を身に付ける
(1-2) 専門基礎知識を修得し、応用できる素養を身に付ける
(1-2-1) 地盤・地震工学の基礎知識を修得し、応用できる素養を身につける
(1-2-2) 力学一般および構造・材料工学の基礎知識を修得し、応用できる素養を身につける
(1-2-3) 水理・環境学の基礎知識を修得し、応用できる素養を身につける
(1-2-4) 計画学の基礎知識を修得し、応用できる素養を身につける
(2)問題発見・解決能力の育成
(2-1) 自ら課題を見出し、計画的に取り組み、解決する能力を育む
(2-1-1) 自ら課題を見出し、その解決に取り組むためのデザイン能力を育む
(2-1-2) 課題に計画的に取り組み、解決する能力を育む
(2-2) 自主的、継続的に学習できる能力を育む
(2-3) 日本語による論理的な記述力、発表および討議などのコミュニケーション能力を育む
(3)社会性の養成
(3-1) 社会に対する深い理解と技術者倫理の素養を身に付ける
(3-2) 共同して課題に取り組み、対応する能力を育む
(4)国際的視野の涵養
(4-1) 英語でのコミュニケーション能力の素養を身に付ける
(4-2) 諸外国に関する理解を増進し、多面的に物事を考える能力と国際的に活躍できる素養を身に付ける

表-1 2012基準対応 学習・教育目標とJABEE基準1の(2)との対応

学習・教育目標〔(1-1)~(4-2)〕が基準1の(2)の知識・能力〔(a)~(i)〕を主体的に含んでいる場合◎印

基準1の(2)の知識・能力 (a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) (h) (i)
学習・教育目標 (1) (2) (3)
(1-1-1)                  
(1-1-2)                  
(1-1-3)                    
(1-2-1)                    
(1-2-2)                    
(1-2-3)                    
(1-2-4)                    
(2-1-1)                    
(2-1-2)                    
(2-2)                    
(2-3)                    
(3-1)                    
(3-2)                    
(4-1)                    
(4-2)                    
基準1の(2)
(a) 地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養
(b) 技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、および技術者が社会に対して負っている責任に関する理解
(c) 数学および自然科学に関する知識とそれらを応用できる能力
(d) 当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力
(e) 種々の科学、技術および情報を活用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
(f) 論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能力
(g) 自主的、継続的に学習できる能力
(h) 与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力
(i) チームで仕事をするための能力
分野別要件
(d)の知識・能力
(1) 応用数学
(2) 自然科学(物理、化学、生物、地学のうち少なくとも1つ)の基礎
(3) 土木工学の主要分野(土木材料・施工・建設マネジメント/構造工学・地震工学・維持管理工学/地盤工学/水工学/土木計画学・交通工学/土木環境システム)のうち、最低3分野

学習・教育到達目標の達成度評価方法と評価基準(2017年度版)

建設工学科では、学習・教育目標を社会が要求する水準を保持して達成できるように、カリキュラムを構築し、工学部規程に卒業要件を定めている。しかしながら、その卒業要件は総括的に定めたもので、それを学習・教育目標ごとの要件の形では示していない。そのため、建設工学科では、学習・教育目標の達成度評価方法と評価基準を上述の規程とは別に2003年度に設定した。本2016年度版は、その後の学習・教育目標の細分化やカリキュラム改正に伴って、それを改訂したもので、学習・教育到達目標達成度の評価方法と評価基準(2017年度版)は表-2に示すとおりである。

これは、2003年度版と同様に、学習・教育目標ごとに達成度評価対象科目群を定め、その修得状況により達成度を評価するものである。たとえば、「(1-1)工学基礎知識を修得し、応用できる素養を身に付ける」という目標については、細目(1-1-1)、(1-1-2)、(1-1-3)ごとに、評価対象科目群として数学系、自然科学系、情報技術系科目群を定め、それぞれの科目群の中から4科目以上、4科目以上、1科目以上の単位を取得し、かつ(1-1)工学基礎知識科目群を含めて全体として20単位以上取得したとき、社会の要求する水準以上での目標達成と判定する。各科目の評価はそれぞれのシラバスに記載した方法と基準によって行われる。

なお、JABEEではエンジニアリング系学士課程プログラムにおける必須事項として、「教育課程(カリキュラム)は、4 年間にわたる学習・教育で構成され、当該分野にふさわしい数学、自然科学および科学技術に関する内容が全体の60%以上であること」(日本技術者教育認定基準 個別基準,付表1-1)としている.建設工学科においては「当該分野にふさわしい数学、自然科学および科学技術に関する内容」として,履修案内別表2,B5群(情報基礎),B6群(工学入門セミナー),ならびに別表3建設工学科のD1~D5群(D3群のうち建築系を除く)の科目が該当しており,卒業に際しては取得単位数が上記の基準を満たしていることが必要である.

※注)2011年度より,学習・教育目標の番号付けを変更した。2014年度に番号(3-2)を追加した。また,2016年度より(1−1−2)とその部分の必要単位数を変更した.